●どんな病気?
耳硬化症はベートーベンの難聴として良く知られている、伝音性難聴(音がうまく伝わらない為の難聴)の代表的な疾患です。鼓膜の奥の3つの耳小骨の一番奥で一番小さいあぶみ骨が、内耳の内耳窓との間に骨のような組織(耳硬化症性骨組織)ができて、硬化して動かなくなることで発症します。難聴と耳鳴りが主な症状です。感音性難聴と違い、伝音声難聴ですので、補聴器が有効です。白人やインド人に多く、黒人や日本人には少ない病気です。明らかな原因はわかっていませんが、女性が男性に比べ2倍以上多く、人種差もあることから遺伝的な要因が関与しているとの説もあります。また、女性ホルモンの影響もあるとの考えもあります。片耳もこともあり、両耳のこともあります。進行して内耳に障害が及ぶこともあるようです。
●病院の治療は?
補聴器で対応する保存療法と手術療法があります。
保存療法 |
補聴器が有効な難聴なので軽度の場合、補聴器が進められます。 |
手術療法 |
固くなって動かなくなったあぶみ骨を手術で摘出し、新しいあぶみ骨と取り換える手術です。手術の成功率は88〜96%と高いようですが、手術後難聴が進行した例もあります。 |
●鍼灸の適応は?
耳硬化症で鍼灸院(当院)に来られることは稀です。あぶみ骨手術後難聴が進行し、鍼灸治療で健常化した例は何例かあります。あぶみ骨の動きが悪くなることによる難聴なので、鍼灸治療により機能が高くなり、難聴が回復する期待はできるかもしれません。
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