外リンパ瘻は別名ダイビング難聴とも呼ばれ、ダイビング中の水圧などにより内耳の外リンパ液が内耳から中耳に露出することによって、内耳の生理機能が障害される疾患のことです。露出部位は、前庭窓、蝸牛窓と呼ばれる内耳窓などです。ダイビング以外にも交通事故の頭部打撲や強い鼻かみでも起こることがあります。主な症状は強烈なめまいや難聴です。聞こえは最初音の振動で外耳に入ってきます。その後中耳の耳小骨で骨の振動になり内耳のリンパ液の水の振動になり、その振動を有毛細胞が音として知覚されます。その水がなくなれば音が伝わらなくなり、聞こえなくなるわけです。
●外リンパ瘻の原因
外リンパ瘻の原因は以下の通りです。
- 外因性の圧外傷 ダイビング 爆風 飛行機搭乗など
- 外傷 交通事故による頭部外傷 中耳内耳疾患 中耳や内耳の手術など
- 内因性の誘因 強い鼻かみ くしゃみ 重量物運搬 力みなど
- 明らかな誘因原因がないもの
耳かきをしていたら、子どもがぶつかって鼓膜を突き破ったとか、トイレの壁に頭をぶつけてなったとか、ひどい便秘で強く力んでなったとかの報告もあります。多いい症例は交通事故による頭部外傷のようです。
●外リンパ瘻の症状
難聴とひどいめまいが主な症状です。耳閉感、頭重感、歩行障害を伴う場合もあります。 聴力は外リンパ液が漏れる程度により違ってきます。重症の場合は次第に聴力が低下し スケールアウト(失聴)になることもあります。
●検査法
以前は手術による確定診断が行われていましたが、最近は手術によらず。外リンパ瘻 特異的蛋白CTPを用いた外リンパ瘻確定診断法が行われるようになったようです。 この方法では、中耳に生理食塩水を入れて、洗浄しそれを検査し、中耳の中に内耳にあるはずの蛋白があるか、ないかを検査するわけです。内耳にある蛋白が検出されたら内耳の外リンパ液が中耳に露出したと分かります。
ただし、今でも、外リンパ瘻の疑いということで入院して手術されることもあります。
●病院での治療法
1 保存的治療法 |
|
瘻孔が自然閉鎖する可能性があるので、脳脊髄圧を下げる目的で頭を30度挙上した状態で安静を保ちながらステロイドを使用します。 |
2 外科的療法 |
|
保存療法でなおらないばあいや、症状の悪化、変動を示す場合、安静解除で再び症状が出現する場合は露出孔閉鎖術、内耳窓閉鎖術が行われるようです。手術によりひどいめまいは止まり日常生活ができるようになることが多いようですが、聴力は下がったままのことも多々あるようです。 |
●外リンパ瘻の鍼灸治療
発症後早期に鍼灸治療を始めることで治ることもあります。 沖縄からダイビング難聴になり、東京で手術の予定で来られた方が、手術前の2日間集中して鍼灸治療をしたら治って、手術が中止になりそのまま沖縄に帰えられた方もおられます。1年後に再診で来られましたが健常のままでした。めまいがひどく嘔吐が止まらない場合、専門の先生にお願いして手術して、めまいを止めていただいたこともあります。
治療法は「めまいの鍼灸治療」に準じます。めまいの心配のない位置で行います。 右耳の外リンパ瘻ですと、普通は右耳を上にしたままで治療します。横向きが無理な場合は仰向けか、うつ伏せのまま治療することもあります。嘔吐に備えて袋を用意することもあります。
|