耳鳴りは病院で「治りません、慣れてください、気にしないで下さい」と言われ、治らないと諦めている方が多いようですが、鍼灸治療で短期に回復することも多々あります。
●耳鳴りには @難聴に伴う耳鳴り A難聴が回復した後の後遺症としての耳鳴り B難聴が始める前の前駆症状としての耳鳴り があります。
@難聴に伴う耳鳴り
難聴に伴う耳鳴りの場合は、鍼灸治療で難聴が回復するのに伴って耳鳴りも自然と解消するのが一般的のようです。したがって、このタイプの耳鳴りの治療法は難聴の回復の鍼灸治療法と同じです。難聴が回復しないまま耳鳴りだけを解消するのは困難なようです。
A難聴の後遺症としての耳鳴り
難聴が回復しても、たまに耳鳴りが残ってしまうことがあります。このタイプでは耳鳴り解消の鍼灸治療をします。耳周りだけでなく頭部や首の真後ろにもハリをします。
また、ケースによって外耳にある耳ツボにハリをすることもあります。
B難聴の前駆症状としての耳鳴り
病院に行って検査をしても難聴でないと言われ、耳鳴りだけが気になるということがあります。放置しておくと難聴になる危険がある前駆症状です。このタイプの耳鳴りはAと同じ耳鳴りの鍼灸治療で対応します。
●発症後間もない耳鳴りの場合は鍼灸治療の後に突然解消することもありますが、発症後、
ある程度時間が経過した耳鳴りの場合は、次のような経過をたどることが一般的です。
- まず、耳鳴りの音の高さが変わってきます。我慢できないキーンとかジーンとかの高
音の耳鳴りからザーとかサーとかの低音の耳鳴りに変わってきます。
- 次に音の大きさが変わってくるようです。大きい音から小さい音に変わってきます。
- 次第に耳鳴りの音が途切れてくる時が出てきます。夜中にトイレに行ったときに途切
れたのを感じた、という声がよく聞かれます。その後朝に途切れ、昼に途切れ、就寝
前のシーンとした時間にだけ残る、ということが多いようです。
- その後は、今まで聞いたことがない耳鳴りが出てきたとおっしゃる方がおられます。
ドクン、ドクンという拍動性の耳鳴りです。耳への血液の流れがよくなってきて、そ
の拍動を耳鳴りと感じてしまうようです。拍動性の耳鳴りは皆さんすぐに慣れて気に
ならなくなるようですが、このタイプの耳鳴りが出現したら病院に行って検査を受け
られることをお勧めします。難聴がある場合でもこの拍動性の耳鳴りがでてきたら聴
力も元の正常なレベルに戻っていることが普通だからです。
尚、最初から拍動性の耳鳴りがある場合は、原因が耳以外にもある可能性がありますので、病院でのチェックをお受けになると安心ですね。
●耳鳴り解消のために気をつけていただきたいこと
耳鳴りは、睡眠不足、体調の良し悪し、天候、大音響、気圧、生理周期、食べ物や飲み物などによって影響を受けることがあります。以下の生活習慣に気をつけると良いようです。詳しくは、突発性難聴ハリ治療ネットワークの「突発性難聴の方にご注意いただきたいこと」「耳鳴りの方にさけてほしい飲食物」をご参照ください。
●耳鳴り解消のために自分でできる工夫
急に耳鳴りが始まったり、耳鳴りが急に大きくなったりした時に、すかさずお試しいた
だきたいことが4つあります。
1.突発性難聴 救急V字筋ケア
夜横になってするとやりやすいようです。
2.突発性難聴 救急内耳ケア
会議が続いたり、話が長くなったりして急に耳鳴りが大きくなったりした時に、
すかさずお試しください。すぐに耳鳴りが収まることもあるようです。
3.突発性難聴 救急五点灸
自宅療法として、毎日あるいはお休みの日にお試しください。
4.突発性難聴 救急円皮鍼
薬局でも扱うことが増えてきた「円皮鍼」を利用することもできます。
耳鳴りは音がしているときは気になりにくく、静かな時に気になります。ですから常に
音を流しておくことも良いことです。お家に帰ったらすぐにテレビ、ラジオ、CD等をつ
けて、静か過ぎる環境を避けると良いようです。お休みの時も枕元にラジオを置いて小
さい音を出して置くと、寝やすいようです。
慢性で解消困難な耳鳴りの場合は鍼灸治療と並行してMMT(耳鳴り記録 以下詳細)で対応します。
(MMTご利用の際は以下のフォームをプリントアウトしてご利用下さい。)
![耳鳴り記録フォーム](images/mmt.gif) 耳鳴り記録フォーム(PDF形式)
慢性の耳鳴りは普通いろんな条件で大きくなったり小さくなったりします。どのような条
件で大きくなるかを見つけるために毎日日記(シートをお渡しします)を付けます。良い
日は5点、悪い日は1点、何をしたか、何を食べたり飲んだりしたかを調べます。それで
各人のキーワードを見つけます。常用薬であったり、生理周期の関係であったり、お酒、
睡眠不足、長時間の会議であったりします。キーワードが分かればそれぞれへの対策を講
じます。耳鳴りは病院で治らないと言われ回復が難しいとお考えの方が多いようですが、
意外に簡単に鍼灸治療で解消することもありますので、お早めにお試しいただきたいと思
います。なお、耳鳴りは高血圧等の耳の病気以外の全身の病気や薬の副作用でも起こりま
す。その場合は、まずその疾患等への対応が第一になりますのでご注意ください。
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